さてと、こんな残酷なゲームに参加させられたわけだが、まずは生き残る事が先だ。
他人を蹴落としてでも生き残らないといけない。
オレにはやらなきゃいけないことがあるんだ。
そのためにはあのピエロの言うことを聞くしかない…か。
そんなことを考えていた矢先、ふと後ろから声がする。

「なぁ…」

肩に手が乗ったのを感じた瞬間、さっきまでの起こった事のせいでこうなったのだろうが、反射的に振り返り戦闘態勢になってしまった。

「待ってくれ!待ってくれ!ワイはあんさんの敵とちゃう!そう!味方や!」

見かけ…中年ぐらいの親父はこう言った。
味方…?
そんなわけない。絶対に敵だ。
そう思っていると親父は続けて

「ワイはあんさんと同んなじなんや!わけもわからずこんなとこに連れて来られて、
フードの奴にあんさんみたく襲われたんや!
もう死ぬところやったわ…」

俺はそれに返事をするかのように問う。

「そうだったのか…おじさん、名前はなんてゆーんだ…?」

親父は軽快に答える

「ん?ワイか?ワイの名前は後藤 進(ごとう すすむ)や、あんさんは…なんてゆーんや?」

オレ…?そういやまだ名乗ってなかったか、

「オレは吉口 凛人(よしぐち りひと)だよ、よろしくお願いします後藤さん」

俺は半信半疑のままこの人の話にのることにした。
すると後藤は

「おぉ、吉口はんか!ほな、よろしゅうたのんますわ」

ニコニコして話してくる。案外いい人なのかもな、この人と勝負の事について相談してみようかな。
そう考えていると、それを見透かしたように後藤は言う。

「吉口はん、ワイと手ぇ組まへんか!?こんなわけもわからへんゲーム早く抜けたいに決まっとる!お互い手を組んで勝ち残りましょう!」

ついつい乗せられてしまったような気がする。

「よ、よろしくお願いします…」

自信たっぷりに後藤は言う

「よろしくたのんますわ!
とりあえず、状況の確認からしましょう。」

それはオレも必要だと思った。
さっきまでのオレは状況の整理をする間がなかった。

「まず、ワイらはこんなわけのわからんところに放り込まれとる、
んで狂ったゲームに参加させられた、
生きて帰るには周りのやからに勝たんとあきまへん。とりあえずこんなとこですかな」

確かに、そうだ。
だが、それに加えて大事なことがある。
それは、
「出会った好きな他のプレイヤーと勝負をする。」
好きなプレイヤーというところは重要じゃない。
重要なのは好きな勝負内容で勝敗を決めれること。
そう、いろいろとまだ詳しいルールを聞いていない。それを確かめなくては…
その考えを行動に移すため、まず俺はこう後藤に話しかけた。

「なぁ…後藤さん。俺と、接触しないか?」

後藤は待ってましたと言わんばかりに

「おぉ!吉口はん!ワイもそう考えてたところやねん!まず接触しても勝負内容を決めへんかったらええはずや!ほな、ワイにええ考えがあるんや。」

後藤は不適な笑みを浮かべた。

「一応聞かせて欲しい…どうするつもりだ?」

よくぞ聞いてくれました、そんな顔だ。

「ふっふっふっ、それはな、あいこで終わらすんや!勝負内容はじゃんけん!K(キング)のカードをグー、Q(クイーン)のカードをチョキ、J(ジャック)のカードをパーとして、二人ともグーチョキパーを4枚ずつ、合計12枚もつ、勝敗の決め方は簡単。まず二人とも伏せてカードを一枚置く、セットや、そしてオープン、勝った方に1ポイント、あいこなら二人とも1ポイント、それだけの簡単なゲームや。
五回勝負でポイントが多い方が勝ち。んで、同点なら二人とも勝ち。
そうやってみんなあいこで終わらして二人とも5ポイントにすんねん!したら二人とも勝ちや!どや!これいけるやろ!」

たしかに、いいかもしれない試したかったことの一つ目はそれだ、同点の場合だ。そのことには触れていなかった。
つまり「同点で二人とも勝ち」というルールにすれはそれが適用され、敗者がいなくなることになる。
よし、乗ろう。

「後藤さん、それいいな。乗るぜ。みんなあいこにして二人とも勝とう!」

後藤はよかった、と笑みを浮かべて

「おぉ!ほな早速接触や!」

バチッ

電気が走ったような気がする
画面には「接触」の文字、つまりルールを決めろ、とゆうことだ。
後藤はさっきと同じルールを言い、画面の文字が変わる。
GAME STARTの文字に。

まず、オレと後藤はセットの前に出すカードを言い合う。グー→チョキ→パーの順で出すことを約束した。

第1ゲーム、
セット、オープン
後藤→グー(K) オレ→グー(K)
あいこ、よってそれぞれ1ポイント

「よしゃ!次はチョキやで!間違ったらあかんで!」

第2ゲーム
セット、オープン
後藤→チョキ(Q) オレ→チョキ(Q)
あいこ、よってそれぞれ1ポイント

「よしよしこのちょうしや!勝ち残るぞ!二人で!」

オレも元気に返事をする。

「はい!いけますよ、これなら!」

第3ゲーム
セット、オープン
後藤→パー(J) オレ→パー(J)
あいこ、よってそれぞれ1ポイント

事は順調に進む、
このまま二人とも勝ち、生き残る。
それが一番だ。

第4ゲーム
セット、オープン
後藤→グー(K) オレ→グー(K)
あいこ、よってそれぞれ1ポイント

「よっしゃ最後やで!次はチョキやで!絶対に間違ごうたらあかんで!チョキ、チョキやで!」

オレはそれに答える。

「大丈夫です!必ずチョキを出します!行きますよ!セット!」

「おう!セットや!」

それに続け、後藤は笑い出す。

「あははははははははは!!こんな簡単に生き残れるなんてな!」

「本当ですね!やりましたね!」

後藤はようやく落ち着き、

「あぁ…ほんまに間抜けやで、吉口はんがなぁ!オープンや!」

後藤のカードがオープンされる。
普通に事が過ぎるとおもった。オープンされたカードをみる。

カードはK(キング)、つまりグーだった。