*涼介side*


中学最後の大会、俺らのチームは瞬のチームに圧倒的な差で負けた。

そのチームのエースは、やっぱりあいつだった。

涼介かっこよかった、いつかあの人みたいになれるよって真衣は励ましてくれたっけ。

...いつか会ってみたい、そういった相手が桜庭瞬だってことに、真衣はまだ気づいていない。


『くそっ...』


キャプテンは俺で、情けなくてグラウンドの真ん中から立てずにいた。

そんな俺を立ち上がらせたのは…瞬だった。


『お前、強いと思うけど』


いつもの爽やかな笑顔で、そう言った。


『地元このへんならさ。高校で、会えるかもな?』


そんときはよろしく、って瞬らしい表情は今でも忘れられない。

そしてその笑顔は、いま、病室のベッドの上で輝いている。


...んなんだよ。

なんで、2回目は、グラウンドじゃねーんだよ。


帰り道、不覚にも落ちそうになるものを必死で止めた。

今1番泣きたいのは俺じゃない。