「杏ちゃん、その片付け終わったら上がっていいよ。」
そう言ってウィンクをする店長。
『いやいや!!最後までしますよ!!』
「夜遅いからだーめ!!」
遅いって…バイトしてる時点で、遅いじゃん。
店長の優しさは嬉しい。
けど、本音を言うと、ほんとは帰りたくない。
先生とお喋りしたいっていうのもある。
けど、家に帰っても誰もいないから…。
私の家族は、ぱぱ、一個下の弟の三人。
ままは私が小さい頃に家を出ていったらしく…ぱぱは残された私達のために働いてくれてる。それもあって帰りが遅い。
弟の一也は遊んでばっかで、めったに家にいないのだ。
