「怒ってるんじゃないの?」 「あぁ、怒ってる」 「じゃあ、どうして?」 どうして、こんなに優しいの? 今までの緊張が一気に解けて、頭がボーっとしてしまう。 「亜美に怒ってるわけじゃねぇよ」 「じゃあ、誰に?」 さっきまで、怒っていたはずなのに、耳元で話をする伸也さんの声にうっとりとして、全部忘れてしまいそう。 「自分にだ」 「自分?」 頭がフワフワしてる……。