ネクタイを外し、裏口から店の中へ入ると、遼の言っていた通り、亜美は床に這いつくばっていた。 姿を見てやっとホッとできた。 何事もなくて、本当に良かった。 俺は這いつくばる亜美の前に立ちふさがった。 すると、顔を上げる亜美。 目には沢山の涙をためている。 「伸也さん……」 「何やってんだよ」 今まで我慢していたのか、ボロボロと涙を零し始めた亜美の前にしゃがみ込んだ。