「時間ないから、先に行くぞ」 「えっ?!今日は早いの?」 バタバタと騒がしく走り回っていた足を止め、振り返った亜美。 「あぁ、今日は会議があるからな」 「わかった。今はそれどころじゃないんだ!!いってらっしゃい!!」 一瞬、俺に向けられた視線は、もう別の所へと移っている。 今、話し掛けても無駄だと感じた俺は携帯と車の鍵をポケットに放り込み、家を後にした。 今日の約束を覚えているか確認し忘れたけど、大丈夫だよな? まぁ、会社で聞けばいいことだし。