「着いたぞ」 「……うん」 いつの間にか、駐車場に停められている車。 私は着慣れない着物をたくしあげ、車から降りた。 「こっちだ」 「うん」 あの頃よりも、立派なマンションに何食わぬ顔で入って行く伸也さん。 自分の住んでいる所なんだから、当たり前だけど。