カタキに恋をした。




**時雨side**



俺は東雲 時雨(シノノメシグレ)、16歳だ。

髪は銀色で、適度な長さにのばしている。


『雲龍』って族の総長だ。


雲龍は、全国No.1の暴走族。

だが、人助けを中心とする。


常に強く、弱いものを守る。

それが俺たちのルール。

主に、他の族から困ってるヤツを助ける。

他の暴走族は、平気で人を殺す奴ら、ヤクやブツが出回っているところもある。

そういうところから、守ってやるんだ。


皆の命が、寿命をまっとうできるように。



俺は、他人が『異常だ』というほど命にこだわる。


命は、沢山あるわけではないし、一度無くなったらもう元には戻らないからだ。


それに、俺自身10歳のとき…



「時雨~、ホントに学校行くのかー?」

「介にぃ、めんどくさいんでしょ。」

「誠は真面目だなぁ~。」

「…介が不真面目なだけだと思うが。」

「陸、キッツー!!」

「…。」


「なにゴチャゴチャ言ってんだ。

そろそろ行かねーと、出席日数ヤバいだろ?」

「そうだけどさぁー…」


俺の後ろをぞろぞろついてくるのは、同じ雲龍のメンバーたち、4人だ。



櫻田 介(サクラダカイ)16歳


誠の双子の兄。

金髪でピアスがよく似合う。

誠とは正反対で、めんどくさがり。



櫻田 誠(サクラダマコト)16歳


介の弟で、明るい茶髪の落ち着いた髪質。

意外と真面目で、介とは正反対。

身長が小さいのを気にしている。



海原 陸(カイバラリク)16歳


俺の幼なじみでもあり、俺の親友でもあり、俺の命の恩人でもある。

髪は暗めの茶髪で、落ち着いた雰囲気。



黒田 霧矢(クロダキリヤ)


普段は無口。

時間があけば寝る。

黒髪で、泣きボクロが特徴的。

無愛想だけど、根はとても優しいヤツ。




皆個性があって、おもしろいヤツらだ。

一緒にいて楽しいし、安心する。


陸「時雨、平気か?

ボーッとしてたが…」

陸は、たまにこうやって俺を心配してくれる。

それは多分、昔の俺を知ってるからだ。



陸は俺の命の恩人。

それと同時に、真っ白の世界から連れ出してくれた、心の恩人でもあるんだ。


「あぁ、わり。

ちょい考え事してた。」

陸「考えすぎは、時雨の悪いところだぞ。」

「別に、昔みたいにはもうなんねーよ。」

陸「…。」


少し空気が重くなる。

なぜなら、ここにいる4人、全員俺の過去を知っているからだ。

勿論、俺は4人の過去を知っている。


皆、お互いにお互いの過去を知ってる。

すなわち、4人も同じように、過去に傷を負ったヤツらなんだ。



誠「…あ、時雨。

あれって…」

「…あぁ。

どう見ても…島田だな。」


島田 瑛(シマダアキ)18歳

全国No.2の暴走族『蜥蜴(トカゲ)』の総長だ。

トカゲは、ヤクやブツが出回ってる暴走族の1つだ。

しかも、かなり非道な奴ら。


アイツらは平気で人を傷付ける。

だから俺は、アイツが大嫌いだ。


「…っアイツら…!」

よく見れば、島田は女の髪を掴み、地面に顔を押しつけていた。


霧矢「…ッ!!」

それに真っ先に反応したのは、霧矢だった。

普通なら無口な霧矢が表情を見せたことに驚くだろうが、皆霧矢の過去を知っているため、驚かなかった。


「…霧矢、落ち着け。

俺が、行く。」


俺は飛び出しかけた霧矢を手で止め、代わりに俺が島田のところへ歩いていく。


そして俺は、近くの公園の男子トイレに女を連れ込もうとしていた島田に、いきなり殴りかかった。