誠「…あの、さ。
筏井さんの、ことなんだけど。」
話題を変えるように、誠が楓の名を口にした。
誠「筏井さん…って、俺らと同類だと思うんだ。
だけど、違うことがある。
俺には…仲間がいる、けど彼女にはいない。
彼女は一人暮らしで、身内もいないんだろ?」
たしかに、個人情報にはそう書いてあった。
なら誰が学費を払っているのか。
それもまた、謎に包まれている。
誠「きっと、彼女は…
俺達と同じか、それ以上の過去を、独りで抱えてきたんだと思う。
そしてそれは、今もきっと同じ。
今回の目的は“筏井楓を守ること”だけど、筏井楓を救うのも、俺たちがすべきことだと思うんだ。」
霧矢は珍しく起きていた。
いや、この話だからだろう。


