カタキに恋をした。




**時雨side**


楓「あたしは、時雨君の────…!」


そう言って楓は、糸が切れたように倒れた。

「…楓?楓!!」

倒れた楓を抱え込むようにして揺らす。

すると、楓はいきなり動いた。

「………楓?」

楓「ごめんなさい、取り乱して。」

「いや、別に…」

どうしてだろう。
これは楓なのに、まるで雰囲気が違う。

そう感じるのは俺だけか?

楓「本当に、何でもないの。

だから気にしないで。」

介「楓チャン、さっき何か言い掛けてたよね。」

楓「…何だったかな。」

介「とぼけないでよ。
忘れたとは言わせないよ?」

誠「介にぃ、そこまで突っ込まなくても…」

介「あっれ~?
いつもの楓ちゃんと雰囲気違うな~って思ったのオレだけ?」

陸「それは…」

やっぱり、皆そう感じてたのか。


陸「…介、なに言ってんだ。
目の前のコイツが別人ってどう言うことだ。」

介「陸なら頭いいからもう分かるんじゃない?」

陸「…だが、」

どういうことだ?

まさか…




楓「私は普通の人間だよ。

なに言ってるの、皆。」

介「ソレだよソレ。
オレたちの知ってる楓チャンはね、いつも敬語なのー。

ざーんねん♪」

楓?「…っ、」


楓…じゃないのか、とりあえず仮楓で。

仮楓はそのまま逃げた。


介「ちょっ、」

時雨「追うぞ!」


俺は全速力で仮楓を追いかけた。

が、なかなか追いつかない。


時雨「…足早ぇなクソッ!」

もうあんな遠くにいる。

なにモンなんだアイツは…。