…見つかってしまった。
ううう、我ながら恥ずかしい…!
自分で干渉するなって言っておきながら、自分から行ってしかも見つかるって!
ドジにもほどがある…。
あたしは時雨君に背中を向けたまま、足を止めた。
時雨「…どうした?楓。」
…優しい。
時雨君は、いつだって優しい。
「…っごめんなさい!
あたしが干渉するなって言ったのに、自分でもバカだなって思ってるんです。
これ以上一緒にいたらいけないのに、時雨君のことが頭から離れなくて…」
誠「どうして一緒にいたらいけないの?」
「それは…時雨君を、傷つけてしまうから、です。」
時雨「楓、こっち向いて。」
おそるおそる、振り向くと。
ぎゅぅっ
「……っ!
あああああの、」
時雨「この3日間、ずっと何かが足りなかった。
その隙間は、楓だ。
俺は楓を守りたい。
もう、目の前で人が死ぬのは嫌なんだ。」
…そのトラウマは、あたしが作ってしまったものなのに。
「…あたしに、そんなに優しくされる価値はないんです。」
時雨「なんで?」
「だって─────…」
マフラーを、握り締める。
あたしは時雨君の目の前で両親を殺した。
「だって、あた、あたしはっ…!」
もう、言ってしまいたい。
いっそのこと、嫌われれば楽なのに。
「あたしは、時雨君の────…!」
“やめなさい!”
涙が浮かぶと同時に、カズサの声が頭に響いて。
それから、あたしの意識は遠のいた。


