霧矢「…俺は介とか誠に比べたら、ぜんぜんちっさいけど…
暴走族の抗争に巻き込まれて、姉貴が死んだ時から、トラウマなんだ。
女が嫌なことをされてるところを見ると、頭に血が上って、周りが見えなくなる。
お前が島田に絡まれてたときもそうだ。
時雨が止めてくれなかったら俺は、」
「大丈夫。
霧矢君には、止めてくれる人がいるじゃないですか。
あなたが暴走しそうになったら、必ず時雨君が止めてくれます。
そうでしょう?
わざわざトラウマを克服しようとしなくていいんです。
あなたのトラウマは、あなたが優しい証なのだから。」
止めてくれる人がいる。
これがどれだけ幸せなことか、霧矢君は分からないだろうけど…
霧矢「…ハハ、凄いな、
あっという間に解決、か。」
次は、陸君かな?
陸「……俺はとくに背負っている過去などない。
ただ、俺はおまえみたいに背負いきれない。
和らげることもできない。
ただ、そばにいることしかできなかった。」
心底悔しそうに、陸君は顔をゆがめた。
「…だそうですよ?
時雨君。」
時雨「そんな、俺は陸のおかげでここまでこれたんだ。
十分役に立ってる。」
陸「時雨……」
みんな、純粋な人ばっかり。
こんな人に囲まれて、時雨君は幸せだね。


