カタキに恋をした。



「オイ地味女。

テメェ東雲と知り合いか?」


“ホラ、今朝の仕返ししてやりましょうよ”

《そんなの、しない…!!》

“とんだお人好しね。

それとも、偽善者なのかしら?”

《違う!

あたしはただ、人を傷つけたくないだけで…!!》

“裏を返せば、それって自分が傷つきたくないってことよね?”


違う…

違う!!


「あたっ、あたしはっ…!!」

「オイ!

なに言ってんだよ…!!気持ち悪ぃ…

オレの質問にさっさと答えやがれ!!」


今朝と同じメンバー。

計4人


「もう、やだ…!!」




カズサも


この人たちも


二重人格も


自分のやったやことも


自分も










…すべて、消えてしまえばいいのに…!!










時雨「…またテメェかよ!!

なにしてんだ!!」



自暴自棄に走りかけていたあたしを正気に戻したのは、今朝もあたしを引き戻してくれた人だった。



「しののめ、さん…」

「っ東雲…!!

またテメェか!!

ってことは、やっぱりこの女知り合いだな!?」

介「あれぇ~、これ今朝の女じゃね?」

あの金髪の人は…櫻田さんのお兄さん。


陸「…ホントだ。」

こちらは…東雲さんの親友の、海原さん。


霧矢「…ッテメェ…!」

あ…黒田さんの声初めて聞いたかも…。

なんでこんなに怒ってるんだろう。


誠「霧矢、落ち着いて。」

櫻田さんの弟さん。

今朝声をかけてくれたけど、とっても優しい声をしてた。


(また、会えるなんて…)


あたしってば、今日ツいてるのかな!?

今のところ今日は一度もカズサに意識を乗っ取られてないし…!!


“私も見くびられたものね。

手加減してあげてるのよ。

調子に乗らないでもらえるかしら?”

《…っ東雲さん達が、止めてくれるんだから!!》

“アナタ人を傷つけたくないんじゃないの?

彼らが私を止めるってことは、少なくとも彼らも傷を負うってことなのよ?”


…っ、そうだ…

東雲さん達が、傷を負ってしまう…



“フフッ、それに彼らも暴走族だしね。

私の趣味のターゲットに入るってこと、忘れないでね?”


《…ッ最ッ低!!!》


“ハハ、どっちが?

アナタ、つくづく自分のことしか考えてないのね。”


「…ッ、いや…」

霧矢「…ッッッ!!!!!!!!!!!!!!

島田、テメェその子に何をしたぁぁあ!!!!!!」



あたしの声に、黒田さんが反応する。

違う、違うの…


「はぁ!?

オレらはなんもしてねぇよ!!

喧嘩売ってんのかテメェ!!!!!!!?」


ダメ…

もう誰も、傷つかないで…!



「…………ッッ!!!!!!」


時雨「…っあ、おい!!!!!!!」





気付けばあたしは、走り出していた。