**楓side**
「さて、アナタは一発殴っておかないと、気が済みません。」
介「……は?
暴力はだめって、」
「介君は黙っててください。」
この人、介君のことをバカにした。
テメェ、ゴミ以下じゃねぇかって言った。
「ちゃんと聞こえてたんですよ?
『テメェ、ゴミ以下じゃねぇか』ってあなたが言ったの。
ゴミはどっちですか。
介君は自分で立ち直ったんです。
それのどこがゴミ以下なんですか。
撤回してください。
今のあなたの方が、よっぽどゴミ以下ですよ。」
介「ひゅ~♪
言うねぇ。」
介君、のんきにそんなこと言ってる場合じゃないでしょ…。
「ケンカなんてしたことありませんけど…
それでも、介君を侮辱したこと、あたしが制裁します。」
あたしは大きく振りかぶって、
初めて人を殴った。
ドゴッ
手がジンジンして、ヒリヒリする。
顔面にヒットしたため、他校の不良はノックアウト。
その場に倒れた。
「……イテテ、やっぱり人を殴るもんじゃないですね。」
振り向いてそういうと、皆がどっと笑った。
あぁ、この雰囲気。
『仲間』ってかんじで、いいなぁ───…
仲間って感じで…
仲間、って……………
「なか、ま………」
まだ介君から、「楓は仲間だ」って言われてない。
認めてもらってない。
あたしは、この暖かい人たちの仲間じゃない。
………あたし、ここにいていいの??
ズキンッズキンッ
ズキンッズキンッ
ズキンッズキンッ
殴られたところが痛む。
なんだろう、ぼーっとてなにも考えられない。
時雨「うし、じゃあ帰るか!」
あれ?
あれれ?
待って、歩くの早いよ。
…それとも、仲間じゃない奴は一緒に帰らないって??
やだよ、待ってよ。
置いてかないで。
………おかしいな、視界も霞むし。
みんなの背中が、ぼやけてく。
だめだ、ぼーっとしてきた。
でも、あたしはどうでもいいんだよね。
だから、こっちを見向きもしないんでしょう?
ねぇ、時雨君。
私 よね?
はいらないの
あたし かな?
最後に脳の中で繰り返されたのは、やっぱりあの言葉だった。
Is it all right for me to be here?
I not must exist.


