**介side**
ガンッ
時雨「楓ッ!!!!」
そんな音と声で、俺の顔が上がる。
見たのは、光る鉄パイプと、男と、
殴られた、楓。
公園の入り口から走ってきた時雨は、楓に駆け寄った。
楓「だい、じょうぶです……」
自分で立ったことにホッとしたのか、時雨は少し楓から離れた。
「楓、大丈夫か?」
オレが言うと、楓は
楓「……はじめて、ちゃんと呼んでくれましたね。」
と言って嬉しそうに笑った。
「…べつに。」
なぜかオレは、楓から顔を逸らしてしまった。
誠「兄さん…」
誠がオレのことを「兄さん」と呼ぶときは、昔のことを思い出してるとき。
普段は「介にぃ」なのに。
介「なにー?」
こともあろうか、オレは仮面をつけてしまった。
せっかく楓がはずしてくれたのに。
そんなことを思っていると、楓が鉄パイプを持って立っている男に向かっていく。
なにをするつもりだ…?


