カタキに恋をした。




**楓side**



“…気をつけろよ。”


うわぁ…!

うわわぁぁぁあ~!!!!!


あの雲龍の人と喋った上に、心配までされてしまった…!!


きっと、うちの学校の女子が知ったら、あたし殺される…。


考えただけで鳥肌が立った。




『雲龍』


うちの学校で唯一の暴走族であり、学校が誇る全国No.1の族だ。

まぁ、実際学校側は結構疎んでるけどね。


人助けを中心に活動していて、人気度は高い。



…特に、女子から。



しかし、雲龍は男しか暴走族に入れないらしく、女子は“ファンクラブ”で我慢している。


ただ、姫は例外。


龍姫は、雲龍でただ1人の紅一点。

なんでも、大切にされてるんだとか。


名前は、えーっと…

確か、渚。



春川 渚(ハルカワナギサ)16歳


茶髪の女の子。

髪はセミロングで、とっても可愛いらしい。
(見たことない)

モデルのようなオーラと体型だが、おおざっぱな性格らしい。



…らしいってww


らしいって、あたしよく使ってる気がする。

あたしは、皆とあまり関わらないから。


だから皆の情報も、入ってこない。

まぁ、無くても困んないけどね?

時々思うよ。

友達って、どんな感じかなぁって。


「友達、かぁ…」


呟いてみてもいまいちイメージできなくて、軽く溜め息をついてから校門をくぐった。





ガラッ



「(…あ、来たねぇ。)」

「(ホントだ。アイツまたマフラーつけてんのかよ。)」

「(自殺の傷を隠すためなんでしょ?)」

「(なんか暗いし。)」



…聞こえてるし、自殺志願者でもない。

こういう根も葉もない噂、誰がたてるんだろうなー…。


きっとロクでもないヤツなんだろうな。


そんなことを思いながら席に着く。

それから授業を受けて、お昼を食べた。


なんだか昼休み騒がしかった気がするけど、あたしは黙々とご飯を食べる。


その後また授業で、家までの帰り道はもう、夕日が沈みかけていた。



夕日はあまり好きではない。


…あの日の、6年前の朱を…炎の朱を思い出すから。



“…いいじゃない。

私は好きよ、赤い色。”


カズサ…!!!!!


《なんで、でてきたの…!!》

“そろそろ『夜』だと思って。”

《…っ、今夜は絶対行かせない。》

“その根性、いつまで続くか見ものね。”


夜、あたしが寝てるとき。

カズサは必ず動き出す。


毎晩あたしは、それを止めるのに必死になる。




だって、カズサに乗っ取られてしまえば、あたしはまた人を傷つけてしまうから。






《絶対、負けないんだから…!!》

“フフッ、いつも薬を飲み忘れて乗っ取られてるのは誰かしらね?”

《…っ》


必死で止めてる。

でも、アレを言われるとどうしても…


どうしても、思考が止まってしまう。


だから、あたしがカズサを止められるのは、薬を飲んだときか、あの言葉を言われないとき。

言われたら終わり。

絶対に入れ替わってしまう。



Is it all right for me to be here?


I not must exist.





「やめろっ…!!」


あたしはとっさに頭を抱えた。




その時。






「…あ、テメェ今朝の地味女じゃね!?」







…なんとも間の悪い。



頭の中で、カズサがニイッと笑ったのが分かった。