何してるんだろ……
恥ずかしい。

穴があったら入りたい、とはまさにこういうことだろう。


「寺田さん。」

「は、はい…」


先生に呼ばれる。

怒られるのかな… 一番後ろの自分の席からじゃよく先生の顔は見えない。


「……そんな恥ずかしいことじゃないですよ。
僕がいきなり名前を呼んだのがいけなかったんですよね、すみません。
 
どうぞ?」


先生は少し眉を下げながら笑う。


ーードキッ…

? 


「そうだよおきなっ!」
「寺田ーファイッ!」

先生に続いてみんなも励ましてくれる。

よく見ると1、2年で同じクラスになった子がまばらにいる。


「……ありがとう。えー…寺田緒樹菜です。
趣味、は……」

必死に言葉を選ぶ。

「一年間、よろしくお願いします!」


なんとか終えることが出来た。

ふいに前を向くと先生と目が合った。

ドキッ……

笑顔で“お疲れ様です”と口を動かす先生。


もやもやしながら頭を下げる。


「…じゃあ、次。戸嘉敷さん。」

「は~いっ!」


頭の中は?でいっぱい。

ドキッ、って…

いや、そんな訳ないよね。