みんなが騒ぎだす。

青い海、白い砂浜っ!!

とか考えているのだろう。


「はい、まだ話は終わってません。」

先生の言葉に徐々に落ち着きを取り戻すみんな。


「この修学旅行には、各クラス二名ずつの、実行委員が必要です。
実行委員の仕事は、スケジュール、観光を決めたり、バス等の座席を決めたり、まぁ、色々。」



実行委員か…

進んでやりたくはない。


「誰か、立候補はいませんか?」


………

誰もやろうとしない。

みんな面倒くさいんだろう。


「いないなら推薦も…」

「…俺、やります。」


一人の男の子が立ち上がる。

…瀬野くんだ。


瀬野くん…瀬野陽くんは、去年同じクラスだった男の子。

あまり深く関わったりはしなかったけど、用があれば話すし、

グループを組むと何故か一緒だったりする人。

みんなに優しくて、明るくて、クラスの中心的存在だった。

「やっぱはるやるのかーww」

みんなには“はる”と呼ばれている。



「お、瀬野さんやってくれるんですか。」

そんな先生の言葉に被せ瀬野くんは言う。


「…推薦ありなんですよね?」


「…はい。」

ニコッと笑う先生を見てから瀬野くんは口を開く。


「俺、寺田とやります。
………寺田を推薦します。」