6年後。




俺は着々とキャリアを
積んでいた。




ちなみにいうと、柚流も
同じ会社に入った。
部署も同じ、腐れ縁ってやつだ。



凛香ともたまに商業のことで
連絡をとったりはしていた。






ーーー俺たちも、
もういい大人になった。







ふと、忘れ去った
姫咲を思い返してみる。





今頃イタリアにいるんだろうか。
それとも日本にいるんだろうか。







と、考えていた矢先。



うちの部署の海外研修が決まった。


それぞれ会社が指定した国から
好きなところを選べる。




候補は…



アメリカ。ブラジル。スペイン。
フランス。シンガポール。





そして、



イタリア。








「イタリア…。」



つぶやいて自嘲する。



選ぼうかと思ったけど、
姫咲はなにも告げずに
行ったのだから、今なんて
もっと会いたくないはずだ。




選ばねーよ、姫咲。







俺は迷わず英語が通じる
アメリカに丸をして部長に
提出したのだった。