歩きながら姫咲に問う。



「姫咲んちってどこなの?最寄り。」





ほんとは、こういうことじゃなくて。


なんで付き合ってるのか聞きたい。



けど、怖くて聞けなくて。




付き合ったばかりなのに、
すごくすごく姫咲が大切になった。


俺を想っていなくても。


だからこそ、聞きたくないこと
だってある。




「最寄りー?えっとねー…。」







ーーーーー

そこから、他愛のない会話だけした。




姫咲の最寄りのほうが大学から
遠かった。こんな長い距離
通ってるんだなって思うと
ほんとすごいと思う。

路線は途中まで一緒だ。




電車が俺の最寄りにつく。




「翔ちゃん最寄りここでしょ?
降りないの?」





プルルルルルル…







ドアが、閉まる。






「ねえ翔ちゃんしまっちゃったよ。
次でちゃんとおりなね?」



俺の腕をつかんで首をかしげる。




「いい、姫咲の最寄りまで行く。」









なんだか、気持ちだけでなく
姫咲が遠い。どこかに行ってしまい
そうな、そんな感じがして
離れたくなくなった。