一夏の恋




お前が緊張してどうする。


俺もなんか緊張してきた。


付き合ってるとは言え、
実際姫咲のことはあまり知らない。





ーーー本当に付き合ってるって
言えるんだろうか。








「しょーうちゃん!」




教室の入口からでかい声で呼ばれる。
そしてバタバタと走ってくる。



「きさ『はじめまして!翔の友達の柚流って言います!』」


姫咲に話しかけようとしたのに
柚流に真っ先に遮られる。


おいおい。

俺より先に話すなよ…。



「翔ちゃんの友達はじめまして!
彼女してます姫咲です。」



お前もお前で変な挨拶すんな。



すると、柚流が


「姫咲ちゃんやっぱかわいいわ。
ほんとに翔なんかでいいのー?」






と俺も気にしていたことを聞いた。

柚流が聞いてくれてありがたい
反面、すごく不安だ…。






その質問に姫咲は。






「どうでしょう?」


と。






俺の好きな笑顔で、





「私は翔ちゃんのこと
好きになれたらいいなって」




そんな残酷なこと




「そう思ったから付き合ってます。」






頼むから、言わないで。