「起こしてくれてありがとう…?」
どう返したらいいのか
わかんなくて自然と疑問系になってしまう。
「私、姫咲。キミは?」
名前、知ってるよ。
なんて気持ち悪いことは言わない。
「翔矢…志津翔矢。」
「翔矢…翔ちゃんかあ。
私のことはなんて呼んでもいいよ。」
翔ちゃん。
すげえくすぐったい。
姫咲が俺の名前を呼んでくれた。
「じゃ、じゃあ姫咲。」
「なあに、翔ちゃん。」
カップルみたいなやりとり。
姫咲はずっとにこにこしている。
「あのさ、前回も姫咲いたよな。
国際経済学部じゃないよな?」
姫咲と話せるせっかくのチャンス。
いろいろ聞きたいことがある。
「うん、私は商学部。
ちょっとおなはししよっかあ。
お隣失礼しまーす。」
そういって姫咲が隣に座ってくる。
いつも柚流がいるところだから
なんだか落ち着かない。
「なんでこの科目とってんの?」
「国際も興味あるからっていう
単純な理由なんだけどね。いままでの
数回は授業かぶっててでられなくて。
でもテストとか受けるつもりないし、
ただ授業聞いて見たかっただけ。」
あの時みたのと同じように、
両手で頬杖をついて話す。

