一夏の恋




「あの…。」



目を疑った。




目を開けたらそこには、

俺を起こそうとする姫咲がいたからだ。





「えっちょっ!え?な、なに?」




やべえ、俺めっちゃ動揺してる。
変に思われたらどうしよう。



「起こしてごめん。授業おわったし、
友達もう帰ったよ、早退したみたい。
あまりにもキミ起きないから
息してんのかなあと思って。」



にこっと
あの姫咲が笑ってる。


柚流早退したのか…
隣の席の柚流が立ったことにも
気づかないなんてどんだけ寝てたんだ。
授業もおわって教室には誰もいない。

机の上に柚流からのメモで、

"急用!起こしても起きないから帰る!"

と残されていた。



「よかった。生きてるね。おはよ。」



やっぱこの子変だ。


かなり深い眠りだったにしろ、
死んだと思って起こしにくるなんて。