その日から、あたしとクラはいつも一緒に行動した。
 放課後だって、一緒にプリクラを撮って、公園で、喫茶店で、いろんな所で語って。



 季節は夏。
 高校生になってはじめての夏休みが来た。
 クラとあたしは人生初のアルバイトを始めた。
 街にある人気の居酒屋さん。
 あたしもクラも相当緊張してたけど…。
 店長さんもスタッフさんたちも、すごく優しそうだった。
 あたしたちの教育係をしてくれるのは、19歳の森田誠さんという男の人だった。
 長身で小顔で二重が綺麗で鼻がスッとしていて…すごく顔立ちのいい人だ。
 "かっこいい“という言葉は、森田さんのためにあるんじゃないかってぐらい…。
 「えっと、望ちゃんとサクラちゃん…だよね?! オレ、教育係の森田誠!まこって呼んで!敬語とか使わなくていいから!」
 「あっ…えっと、岩橋望です。よろしくお願いします。」
 「神…宮寺…サ…サクラです。」
 「あはは。2人とも緊張しすぎじゃない?!気楽にいこうぜ〜、てか敬語使ってんじゃん!禁止な!」
 そう言って森田さんはまた、あはは、と笑った。


 
 隣にいるクラの顔が赤くなってたのは…気のせい…かな…?

 

 バイトを始めてから、クラは森田さんの話をよくするようになった。 
 

 …いつも、頬を赤らめながら。