「いや、帰る!」

 裕一は頑なに帰ることを提案し、祥子の手を引いた。

「あれ?」

 と、和也は言った。

「どうしたの?」

 祥子は立ち止まり、和也に顔を向けた。

「音楽室の電灯がついたよ」

「本当だ!」

「誰かがつけたんだろう」

 裕一には帰りたいので、ぶっきらぼうな言い方になっていた。

「遅くなってごめんさーい」

 そこに由紀が手に懐中電灯を持って現れた。