空は雲一つもなかった。だから満月がきれいに見えた。

 高校の門の前で三人は待っていた。

「遅いな!」

 裕一は持ちくたびれた様子だった。

「もうくるよ」

 と、和也も待ち遠しかった。

「もう、八時四十分だぜ!」

「どうしよう? 携帯の番号知らないし」

 と、祥子は携帯をいじっていた。

「帰ろう!」

 と、裕一は言い出した。

「せっかくきたんだから、中に入ろう」

 と、和也は本心でないことを言った。