「……大渕?」 名前を呼ばれた。 呼び捨てにされるのなんて、久しぶりだ。 高校時代の友達とも、最近はあまり会っていない。 大学が、楽しいらしい。 「はい」 そう言って声の主を見ると、見覚えのある顔の男性が、カウンター越しに立っていた。 「大渕麗、だろう」