「あれ?」


 夢中で舐めていたイブは、
 味がしなくなったことに気づきます。


「あれれ?」


 目を凝らして見ても、
 血が流れていたはずの傷が見当たりません。

 確かにあったはずなのに、
 どこに消えたのでしょうか?

 一滴の血さえ残っていません。


 すべて舐めてしまったのでしょうか?




(おいしかったのに)



 イブは物足りなさを感じながら、
 傷のあった脇腹を凝視します。