「お兄ちゃん、大丈夫?」

 歩いてくるだけで精いっぱいだったのか、

 横たわった後は目を瞑り、
 眉間に深いしわをよせ
 痛みと戦っているようです。


 押さえた右のわき腹からは、
 少しずつ血が滲んできています。


 イブは跪くと、
 押さえている手に
 そっと、自分の手を重ねました。

 止血をしようにもその術を知りません。


 樫の木に傷を治す方法を聞こうか、
 どうしようかと迷っていると。




 また甘い匂いがしてきました。