甘い匂い。



 またどこからか、漂います。


 さっきよりも
 濃く、甘く、
 匂いは増していきます。


 イブの大好きな匂いなのです。


(どこから?)

 すぐにでもこの匂いの正体を知りたい。

 見つけたい。


 思いながらも、
 今はそれどころではありません。


 青年を助けることが、最優先でしょう。




 イブは逸る気持ちを抑えながら、
 青年の手を取り歩いていきました。