「あの、すみません」

そう声をかけた。

クルッと彼が振り向く。

「はい、どうしましたか、…っ」

あ、とまた彼は目を見開いた。

一昨日の今朝のように。

「貴女、どこかでお会いした気が…」

そして彼は小さく呟いた。

本当に小さい声だったが、私はその声を聞き逃さなかった。

「私、松井です。松井紗理奈です」

「松井、紗理奈…。あ、もしかして!」

彼は思い出したように声を上げた。

「小学校の頃の…あの人ですよね?」

「はい」

私はコクリと首を縦に振る。