This is us -2




「何だよ、帰れなんて言ってねぇだろ?」


「…雰囲気が言ってる」


怖くて、瞳を見ることすら出来ない。

思えば喧嘩なんて、したことなかった。


「じゃあ、帰れば?」


「…うん、そうする」


クシャクシャにした資料をフローリングに投げて、そのまま部屋を後にした。

勢いのまま出てきてしまったけれど、私の住むマンションへは電車で30分程かかる。


「…終電、ないじゃん…」


駅に向かう歩幅が徐々に狭まって、とうとう立ち止まった私の瞳には涙が溜まっていた。



どうして、こんな時に…


喧嘩なんてしちゃったんだろう。


見上げた空は、真っ暗で。月が小さく光っている。


こんな、つもりじゃなかったのに。


何とかタクシーをひろって、家まで帰った私はそのままベッドにダイブして。

何の連絡もない携帯を握りしめたまま、いつの間にか眠っていた。



結婚て、何だろう…


よく分からない。

全部、私が舵をとってやってきた準備もどうでもよくなってきた。

だって、私だけの結婚式じゃない。


ふたりの、結婚式なのに。



.