「じゃあ…ここはこれにするから、こっちはこれでいいかな?」
資料をローテーブルに広げて、仕事から帰ってきた蓮に投げかける。
決めなきゃいけないことは山ほどあるのに。
土日も仕事をしている蓮となかなか日程が合わないでいた。
「…いいんじゃん?てか、飯食いたいからそこ空けて」
蓮は冷蔵庫に向かって言いながら、チラッと散らかったテーブルに目をやる。
確かに、このままではお皿すら置けないけれど…。
「来るなら連絡してくれれば良かったのに」
そう言って缶ビールのプルタブを開ける蓮は、疲れた様子を隠しきれていなくて。
私がギュッと拳を強く握ったせいで、持っていた資料がクシャクシャと音を立てた。
連絡しないで週末に蓮のアパートに来ることはいつもの事だったのに。
私だって…
「分かった。今日は帰る」
嫌な気持ちばかりが溢れだして、何だか泣きそうになるのを堪えながら立ち上がる。
私達、結婚するんだよね…?
そう思わずにはいられない。
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