心から笑える時を


渡辺夏樹。女子の中で一番モテている男子。私にとっては関係のない話だった。

皆は窓から渡辺夏樹を見ている。皆に合わせて私も窓のところに立った。

「夏樹くーん!!!」

一人の女子がそう叫んだ。渡辺はこっちに気づいてにこやかに手を振っている。それを見てさらに女子が甘い声をあげる。

.....何がいいんだろ?

やっぱり女子ってわかんないな...。恋愛とか興味ないし、まず好きってのがわからない。

「やっぱ、夏樹君かっこいいよねぇ。ねぇ、雫もそう思うでしょ?」

あ、この質問もまただ。内心そう思ってないが私はこう言う。

「そうだね。かっこいいと思うよ?」

『だよねぇ〜!』

皆一斉に声をあげた。わかんないな...。

「ごめん!ちょっと用事があるから帰るね」

「あ、そうなんだ!また、明日ねぇ!」

「うん」

私はもうこの場所にいたくなかった。もう疲れたんだよ...。

私は教室を出てすぐに皆から見えないようにドアの影に隠れた。

これもいつもの日課だ。皆が私が帰ってどんな話をしているか。私のことを話していないかという確認だ。