風が伝える



「杏奈…」

聞こえるか聞こえないかギリギリの

声で、汐梨が杏奈を呼んだ

「し…おり…」

汐梨は杏奈の顔を見て

「ごめん」

そう言って、杏奈を抱きしめた

「汐梨…」

「杏奈…ごめんね。大好き…だよ」