「お前も早く帰れ。
何を見たか知ったか知らねぇが、此処には近づくな」
そんなの、
『……無理です』
「あ゛? っておい‼」
急に走り出した私は目の前が暗くなるのを感じた。
景色はまだ暗い。
なのに、あの屋敷の私の部屋だけが、灯りをともしていた。
襖を開けると、一斉に此方を多数の目が向いた。
「お前、最近様子が可笑しいと思っていれば外に出ていやがったのか?!」
そこには店主がおり、私の髪を引っ張り壁に投げつけた。
「こんの恩知らずが‼
身寄りのないお前を引き取ってやったというのに‼」
体は至る所を殴られ蹴られ、もう痛みさえ無くなった。
「くたばるがいいわ‼」
私は牢に入れられ、横たわっていた。
温もりどころか衣擦れ一枚も身に纏わせてもらえなかった。
『苦しい……』
暴虐がじゃない。
『総司様……っ』
貴方が居ないだけで、こんなにも胸が苦しい。

