バレンタインには甘いチョコ。

「ほらぁ、何も言えないんじゃーん?てことは好きじゃないってことでしょ?別れなよ景一」


その言葉に私は顔を上げた。


違う。好き。


なのに言えない。


「そ…いえばさ」


ぽつりと景ちゃんが呟いた。


「告白…したのも俺からだったよな…。」


絞り出すような悲しい声に、胸がぎゅぅって締め付けられた。


「無理やり…付き合わせてたんだよな。…ごめんな」

景ちゃん、違う。違うんだよ。


「景ちゃー…」


私が声を出したのとほぼ同時にチャイムが響き渡った。


「あっ…」


景ちゃんは一瞬泣きそうな表情で顔を歪めた。


そして女の子たちの腕を振り払って、席へと向かっていく。


「おーい、何してんだぁ?席につけー」


しばらくして入ってきた担任の登場によって、野次馬だったクラスの人たちもそれぞれの席に散っていく。