バレンタインには甘いチョコ。

まだしつこく「今年は手作り~?」と私の制服の袖を掴んで聞いてくる景ちゃんの手を払いのけて、私は教室の扉に手をかけた。


一斉に女子の視線が降り注がれる。


無論、それらは全部私にではなく隣にいる景ちゃんに。


「景一ーっおはよぉ」


「きゃーっ寝癖ついてる!可愛い~」


甘い声を出して、女の子たちが景ちゃんにくっついていく。


そして自分の腕を景ちゃんの腕に絡める。


これにはムッときたが、すぐに平常心を心がけた。


嫉妬なんて景ちゃんを信じてない証拠だよね。


景ちゃんと付き合ってるのは私だもん。


そう心に言い聞かせ、女子の軍団を抜けて、自席へ移動する。


鞄を机の上に置いて、教科書を机の中に入れていると、女子の一人がわざとらしく声を大きくして言った。