天の邪鬼は歌がお上手




辺りを見回すと斜め後ろには
いかにもなスーツ姿に煙草をふかした男…



















「お前今日仕事休みじゃなかった?」






煙草を消して
俗に言う甘いマスクの男は低い声で喋りながらあたしの前までくる。



この男、
認めたくないがうちの兄貴だ。







「梢の代わりに入る事になったから、思いっきり仕事だよ」







「なら丁度いいな♪」



「何が?」




「今日2人で予約入れといてくれ」




「あたしを出汁に使って同伴するの
そろそろやめろ!この詐欺師が!」



「まぁまぁ怒るなって☆
送ってやるから♪」








そう言いながら道路に止まった車を指差すバカ兄貴。











ブチブチ文句を言いながらも
自転車の鍵を締め直し、
あたしは兄貴の車にふてぶてしく乗り込んだ。