妖勾伝

珀を隣に座する男ーーー


座っていても、改めてその背の高さを大きく感じさせられる。

胡座をかいた片膝に頬杖をつき、手持ちぶたさに首を其処に預けていた。


先刻とまったく変わらずレンを見据える眼は鋭く、

精気と光を宿す片側だけが、ゆっくりとレンの姿を捕らえるかのように動いた。




そして、

ニタリと笑うーーー



「また、
会えたな……」




その男、

まぎれもなく、先刻にレンを軽々と降り投げた、あの片眼の男なのだったーーー






男がそう云うが早いか、レンはすぐさまアヤを後ろ手に庇い、腰に差した二つの太刀に手をかける。

その淀みの無い瞳は男を睨みつけたまま、間合いを測るかのように息を詰めていた。



絡み合う視線。

一動でもすれば、火傷しそうな程に気を高め、

小さく息を吐く……





「待て、
レンーーー」



耳元に響くアヤの声に、男を見据え張り詰めていたレンの気が一気にほどけた。



ーーー何故!

男に視線を絡めたまま、後ろに庇うアヤに問いかけるレン。

瞬時に沸き立つ気を窘めるように、アヤは落ち着いた声でこう云ったのだった。