妖勾伝

十五年前に初めて見た、その瞳。

再び出会えた時も凛とした輝きを放ち、何を云わずともアヤだと分かった。


幼い頃から深く心に刻み込まれた変わらない信念は、成人したアヤの魅力を更に際だたせていた。



ーーーしかし、


こんなにも、ツツキたがり屋だったとは……




そうさせるのはレン相手だからか、何なのかは分からない。

だが、

いつも飄々としているアヤがレンをこうしてイジるのは、アヤの楽しみみたいだった。




「しかし、
本当にレンは、女に好かれるな。」

コネコの首元を擽りながら云うアヤのその一言に、レンは眉を顰め右頬をこれでもかというぐらい掴みあげてやった。

「斬り落として欲しいのは、この口かーー」

「ヒェン、
イヒャイーー…」

「この男前な顔、
いつでも削ぎ落としてやるゾ。」



パチンと引っ張りきった頬を離し、とどめのデコピンまでくらわされたアヤは少し涙目。



「レン、
ちょっとは、手加減してくれ…」

そう云うアヤに向かってフンッと小さく鼻を鳴らすと、レンはそっぽを向いた。