妖勾伝













ミャゥ ミャゥ ーーー



少し先の、足元程の高さに生え揃う茂みの中。

微かな鳴き声と共に現れる小さな白い影。

再び見たその姿に、アヤは頬を緩めた。



「おや、
コネコじゃないか。」



先程、団子屋で別れた小さなコネコ。

小手鞠の様にコロコロと転がりながら、喜んでアヤの元に駆けてくる。


「どうしたんだ?
付いてきちゃダメじゃないか…」

足元でゴロゴロと喉を鳴らし擦り寄るコネコを抱き上げ、その小さな頭を撫でつけた。


翡翠色のガラス玉の様な瞳が、アヤをジッと見つめる。





「とうとう、アヤは人間の枠をも越えたのか?
今日の寝床はコネコの穴蔵か……」

その好かれように半ば呆れかえりながら、レンは呟いた。

「そうだな。
今晩はコネコにでも、宿を調達してもらおうか。」


レンの冗談を受け止め、真剣な顔で頷く。

たまったもんじゃない、とレンは肩を竦めた。




「ヤめてくれ。
昨晩は、ひつこい姐さんに捕まって逃げるのに苦労したんだ。
今晩ぐらいは、ゆっくり寝かしてくれよ。」