妖勾伝

「さっきの男達の話し、
どう思う?」


道すがら考え込んでいたレンが、重い口を開いた。


「首斬りの話しか…。」


木立からたまに差し込む光に目を細めながら、真っ直ぐ前を見やるアヤの横顔をレンは見つめた。



「十中八九、闇の仕業だろう。」


その整った、端正なアヤの横顔。

厚めに縁取られた口唇から、ふと漏れる息。

やはりアヤも男達の話しを聞きながら、レンと同じ事を考えていたらしい。



「都に近付くにつれ、はっきりと存在を表してきている。
まるで私達を取り囲む様に…。
都に辿り着く前に、けりを付ける気だろうな。」


ーー都

レンは、まだ見ぬ異彩な土地を想像した。

どす黒く渦巻く、貪欲な欲望の地。



幼い頃から見せ小屋で各地を転々としてきたが、都程大きな場所は無かった。


心の片隅に、ふとよぎる不安。

都に立ち入ってはいけないと、どこか奥底で本能がそう騒いでいる。




進むにつれて強くなっていく意識。


瞼を閉じ、その意識を深く向こうへと追いやった。