妖勾伝






















神月の眼に、ゆっくりと立ち上がるレンの姿が映ってゆく。







邪気に満ち溢れた化け猫の鈎爪から、
自身を庇う様にーーー









ーーーっんの、
馬鹿…








あいた腕で手繰り寄せる様に、レンの細腕をとっさに掴み取る。

ギリギリの、瀬戸際。


引っ張る神月と鋭く尖った鈎爪が、同時にレンの躰を揺さぶった。
















弾ける躰。




レンの胸元から零れ落ちる、朱の彩。










「ーーレンっ!」
















神月の手中で、


朱が、
愉しげにゆっくりと舞い踊った。














「……さら…し?」








受け止めた、
レンの華奢な躰。


化け猫は標的を見定め、きっちりとその胸を貫いていた。








だがーーー






神月が引いた手によって、ほんの僅かの差で仕留め損ねたのだった。









「……ん…」


痛々しげに、身を捩るレン。

神月の声に応える様に、その眉をしかめた。








裂き斬られたレンの胸元から覗く、幾重にも巻かれた朱色のサラシ。

左肩の鎖骨の窪みから、縦にスッパリと斬られている。




そこから、零れ落ちそうに柔らげな二つの膨らみが、


神月の眼に、
止まったーーー












「レン、
貴様…


おん…な…だったのか?」