妖勾伝

「すべては、因果応報。
悪事をはたらいた者は、必ず罰せられる。

珀、
お前達が手を下さずともな…」


アヤは、ゆっくりと頷く。




「それに、
翠人もこうしてお前達が輩を狩る事を、望んでいると思うか?


翠人の、
心根の優しさに、惚れたと云うなら…

そんな翠人なら、
珀が自ら手を闇に汚す事など、望むハズ無いだろうーーー」












人離れした、珀の能力。

その気配ーーー


太刀を交えたあの一瞬でも、珀を化け猫と同じ深い闇に棲む、物怪の類かと思わせたのだ。


世に受け入れられる事ない、その力。









レンはアヤの話しを訊きながら、掌に痺れ残る感覚を思い出し、ギュッとその手を握り締めた。


そして、
静かに見守るーー

薄闇に対峙する、アヤと珀を。











幼い頃から誰からも受け入れられる事無く、固く閉ざされてしまった珀の心。



だだ、

持ち合わせた人とは異なるその能力のせいで、与えられるべき親の愛情さえも、その手には入れる事が出来なかった。




呪う、自身の能力。

憤りを感じながらもどうする事も出来ずに、蠢く闇に足をすくわれ溺れてゆく。




深く、

深くーーー