虹の架かる橋

ケンがレストランに来る頃には、みんな食事が終わっていた。


でもユリは優しい。
もう一度ビュッフェにおかずを取りに行った。


私はまだ食事中だよ、と言わんばかりに。


本当にユリは素敵な女性だ。


私も見習いたい。


ケンはハイピッチで、口に食べ物を流し込んでいる。


もうそろそろバスが来てしまう時間だ。


このままではケンは、食後のコーヒーすら飲めないだろう。


ユリも同じ事を考えてたのか、ケンのためにコーヒーを持ってきた。


横には、牛乳のグラスを添えて。


ケンは牛乳コーヒーが好きで、毎朝、コーヒーと牛乳を一緒に持ってくる。
そのせいか、ユリは覚えたのだろう。


でもここまで、ケンのために気を使っているユリは、ケンの事が好きなんだろう。


正直良かった。


もし、ユリがマサを好きになっていたら私は叶わない。


女っぷりも行動力も、頭の良さも、全てにおいて叶わない。


ユリには脱帽ですよ、本当に。