虹の架かる橋

もちろんその本も買って、私は急いで家に帰った。



外はもう日が落ちて、薄っすらと月の存在が浮き出ていた。



家に入り、急いで小さなキッチンに立ち本の書いてある順番に事をこなす。


手際はイマイチ悪いが、頑張っている自分がとても可愛く思えた。


ご飯の炊き上がる5分前にマサから電話が鳴った。


「もしもし、今下に着いたよ。」と相変わらずの優しい話し方。


「うん解った。でも、チョット部屋に上がって来てくれる?」


私は驚かそうと思って、電話では作っている事を言わなかった。


インターホンが鳴りオートロックを解除する。


2分経つか経たないうちに玄関が開いた。


「入るよ。うわっ、超いい匂いがする。」とマサが家に入るなり言った。


私は笑顔でマサを迎え入れ「外食って思ったんだけど、ご飯作ろうかなって思って作ってみた。」と軽く言う私。


マサは鍋の中身を見ようと手を鍋のフタに伸ばしたが、私が軽くぺチッと叩いて、「まだダメ、座って待ってて」と言った。