虹の架かる橋

喫煙所では、白く空気が淀んでいる。


「うわっ。凄いね、煙。」

ユリが慌てて換気を始めた。


みんなが「寒い〜」と言いながらユリを見た。


だけど、ユリはそんなの気にせず、窓を全開にして空気の入れ替えをしている。


こういうところは、ユリのいい所だ。


なんでも先頭切って、みんなが面倒だと思う事でも嫌な顔一つしないでやってくれる。


多分地元では、頼られてるキャラだろう。


それから、他に居た喫煙所のメンバーとみんなで、話をした。


明日、卒検を受ける人が
「もう卒業って思うと寂しいな。」
なんて言ってた。


そう思うもんなのかなぁ。


そして違う人が
「そうだよね、浜松って何気に楽しかったよ。他の合宿はこうじゃ無いみたいだし。」
って言った。


考えてみれば、私の友達で『合宿が楽しかった』って言う人は聞いた事が無い。


たいていは、地方の山の中で、ひたすら遊ばずに免許を取る事だけに専念して、帰ってくれば『つまんなかった。』って言う。


そう考えれば、浜松は夜も遊べるし、門限守れば楽しく帰れるんだ、って思った。



だいぶ換気も出来たようなので、ユリは窓を閉めた。

それから、ユリはケンの隣に座った。


やっぱりな〜。


怪しい…。


そう思いながらも会話を楽しんでいた。