ある日、友達の田中 真由美(たなか まゆみ)が
わたしに愚痴を言ってきた。

「ちょっと聞いてよ!
篤志(あつし)がほんまにうざい!」
篤志とは、1つ上の真由美のお兄さん。

「またなんかあったんかー」
と、わたしはいつも聞く。
見たことなかったが、真由美によると
イケメンだが、彼女がいないらしい。

「この前家でさー...」
と、話をしている真由美のケータイが
ライトをつけて鳴っていた。

「真由美、電話。」
わたしがそう言うと、
真由美は「ちょっと、ごめん!」
といいながら電話にでた。

「...はぁ?もーほんまうっとおしい!
篤志1人で行けよな」
どうやら電話の相手はお兄さんらしい。
声を荒げて電話している真由美を
みると、なぜか笑えてくる。

電話をきった真由美は、
怒りながら話の続きをいう。


そして、真由美は思い出したかのように
「今日、篤志が学校までくるって
ありえへん。」

...

.....

お?
じゃあお兄さん見れるじゃん。

わたしは、一目見てみたい!と言った。


放課後、校門の前で待っていると
1台のバイクが目の前にきた。

「まじで篤志きたんか」
「おめーもここで待ってたんやん」

身長はまぁ高めで、目はぱっちり二重。
いかつい顔してるけど、真由美の
言うとおり、世間で言うイケメン。

わたしがずっと見ていたせいか、
「この子は?」
と聞いてきた。

「あ、はじめまして!
山田 愛希です!真由美とは
仲良くさせてもらってます」
と自己紹介をした。

「あ、ども。篤志です」
と、一言いうと、真由美に
「おめーも買い物いくぞ」
と言い放ち、真由美をバイクの
後ろに乗るよう指示した。

「ごめん、愛希!
また今度一緒にかえろ!」
そう言うと真由美はバイクの後ろに
嫌々乗って、行ってしまった。


あー、行っちゃった。

わたしはとぼとぼ1人で帰ったが、
頭から真由美のお兄さんのことが
離れなくなっていた。


次の日、真由美が何度も
謝ってきてくれた。
「もー、ほんまにごめん!
篤志がひとりで買い物行かへんから!
ほんま頼りないなー、あいつ」
真由美そう言うと、わたしに
お兄さんとのメールを見せてきた。


”おめーの友達可愛いやん。”


どきっとした。
真由美が「これ愛希のこと」
と、言うとニヤニヤしながら
ケータイをいじりはじめた。

わたしのケータイが鳴る。
真由美からのメール。
目の前にいるのに?と思いながら
メールを開く。

すると、メールアドレスが書かれていた。

「メール、してあげて?」
真由美がニヤニヤしながら
わたしをみつめる。

え?わたしがお兄さんにメール?
こんなことってあるの?


わたしは家に帰って、
送るべきか迷ったが
メールしてみることにした。