「山田 愛希です。H中学出身です。
よろしくお願いします」
わたしは短い挨拶を済まし、席についた。

休み時間、わたしの周りに
3人ほど女の子が近づいてきて、
「勉強合宿、休んだ子やんな?」
「ノートかしてあげるわ!」
と、声をかけてくれた。

それからというものの、
わたしの印象は”合宿休んだ子”となり
よく、”ヤンキーかと思ってた”
と言われていた。
ただ、風邪ひいてただけなのに。

でも、それをきっかけに話かけてくれる
クラスの人もいて、嬉しかった。


そして、授業が本格的に始まった頃。
わたしはまだ、前田くんとは
1度も喋ったこともなかった。

もちろん、前田くんはおしゃれで
かっこいい男の子なので、
クラス以外の女子からも人気で。
ふと見ると女の子と話す姿が
よく見受けられた。

だが、喋ったこともないのに
日に日に前田くんのことが気になり出し
ついにわたしは話しかけてみた。

「前田くん、数学のノートかして!」
わたしがちょっと照れて言うと
前田くんは優しくノートを渡してくれて
「ちゃんとノートとりな?」
と、一言いってくれた。

嬉しい。話せた。嬉しい!!!!

わたしは「ありがとう!」と言って
自分の席に向かった。


そして、わたしにこのあと
ライバルができるとは
おもってもいなかった。



ある日の身体測定の時間。
女子だけで着替えている時、
クラスの女の子が、
「えー、まじで?すごっ!」
「うらやましーっ!」
などと声をあげていたので、
「なになに?何の話?」
その中にいた葵に声をかけた。

「ななちゃん、前田くんと
付き合ってんてさー!」

...

....

ん?
前田くんと付き合った?

わたしはわけがわからず
そのななちゃんと言う子に声をかけた。